スクール・キラー お嬢様の秘密







「暴行、ですか…。
何だか、今までより大事(おおごと)になっておりますね…」




忌まわしき事件の内容も、

“あの計画”の目的も、

あたしが地味な格好をする理由も。

全部知っている村瀬が、端正な顔をしかめた。

…あたしの周りって、真宮くんと言い村瀬と言い、イケメンが多いわね。





「お嬢様、期限は決めているのですか?」

「……まだ、よ」

「今回はいつもよりお早めにお決めになられた方が良いかもしれませんね。
もしかしたら、病院や警察沙汰になる可能性も出てきましたし…」





病院や、警察沙汰。

想像も出来なかった単語に、あたしは身震いした。





「ご無理はなさいませぬよう」

「わかっているわ。
…ありがとう、助かったわ」





身体中絆創膏だらけになったあたしは立ち上がって、ベランダへ向かう。

夕方特有の、大きいオレンジ色の眩しい太陽が、やけに綺麗に見えた。






早めに、終わらせるかしらね…今日は。

いつ、どこかで眠っているアイツが目を覚ますか、わからないから。





どこにいるの?

もし出会う機会があったなら、教えて。






どうして、

あの事件を起こしたの……?

あたしはそっと、その憎いアイツの名前を呟いた。







「スクール・キラー……」






アイツの名前は、夕方の空に消えていった。








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