スクール・キラー お嬢様の秘密
先生が出て行くと、一斉に立ち上がった佐山妙子たちが、あたしの所に来た。
…嫌いなら、来なければ良いのに。
あたしはブックカバーに隠した、久我山流経営の本を閉じて、顔を上げた。
お父様が作ってくれた、久我山流経営の本。
これを読めば、久我山がどうして世界に轟くほどの財閥になれたかがわかる優れものだ。
かなり分厚いから、読むのに学校は良い場所だけど。
あたしは久我山の人間だとバレてはいけないから、こうして来る度に隠す。
「久我さん。
どうして今日、学校に来たの?」
「久我さんはぁ、必要ないんだからぁ。
来なくてもぉ、誰も悲しまないよぉ?」
佐山妙子と一緒に話しかけてくる、彼女の1番の友達。
…友達、というより取り巻きという方が正しいかな。
語尾を常に伸ばすのが特徴な話し方をする。
名前は、橘里沙(たちばな・りさ)と言ったか。
名字はあやふやだけど、自分のことを「リサ」というので、下の名前は合っているはずだ。
妙子同様、校則違反ギリギリの服装や見た目をしている。
短い髪をツインテールにした髪型は、本人に似合っているけど。
あたしは黙って、無言を貫いた。
これが逆効果だとわかっているけど。
これが、あたしのこのクラスでのキャラクターだから。
「ちょっと久我さん?
無視されると、傷つくんだけど?」
「無視はイケナイってぇ、学ばなかったぁ?久我さぁん」
無言のあたしを見て、クスクス笑う佐山妙子と橘里沙。
下品な笑い方が、とてもムカつく。
…絶対に、言わないけど…。