スクール・キラー お嬢様の秘密
「……はぁ…」
真宮くんは髪の毛を、クシャッとしながら、溜息をついた。
「……あのさぁ、ミミちゃん」
「は、はいっ!」
「…僕、彼女はいないよ。
好きな人は…いる、けど……」
好きな人…いるんだ…。
そう聞いた瞬間、あたしの目からは、涙がこぼれ落ちていた。
「……うっ…ひっく……」
あたしは両手を両目に当てて、声を殺して泣き始めた。
いくらいじめられても、泣かなかったあたしなのに。
昔から両親や村瀬に、「美海は泣かない子だね」と言われ続けていたのに。
たった1つの失恋で。
こんなにも涙が溢れてしまうなんて…。
たった1つの失恋は、
たった1つの、
大きな恋だったんだってことを、
思い知らされた気がした。