スクール・キラー お嬢様の秘密
それから、数十分後。
ノックもなしに保健室の扉が開き、無言で誰かがはいってきた。
そしてその人は、カーテンを躊躇いもなく開けた。
ベッドの上で布団を被って座っていたあたしは、特に驚きもせず、入ってきた人物を真っ直ぐ見た。
「……何の用よ?」
「突然呼び出してごめんなさい。
授業は、大丈夫?」
「……ええ」
「座ってくれる?」
彼女―――佐山妙子は、ベッドの隣にある椅子に腰かけた。
「私に、何の用よ。
いきなり真宮美弦から呼び出されて…。
授業をサボったのなんて、初めてだわ」
明らかに機嫌の悪い妙子。
正直、1対1になりたくない相手だ。
だけど、あたしには役目があるから。
“スクール・キラー”を探すと言う…『いじめ防止委員会』発起人の娘としての役目が。
「佐山さんに…聞きたいことがあるのよ」
妙子の名前を、本人の前で言ったのは、初めてかもしれない。
いつも妙子と呼んでいたけど、面と向かうと、佐山さんになってしまうわね。