スクール・キラー お嬢様の秘密
「何てめぇ笑ってんだよ…オイ!」
男子顔負けの口調で、あたしの制服の胸ぐらを掴み、顔を近づけてくる妙子。
至近距離で見つめ合うあたしと妙子を見て、ずっと笑い続けている里沙。
さっきから何も言わないし、手も加えないけど、真顔で光景を見ている、里沙以外の妙子の取り巻きたち。
遠巻きに、冷たい目で傍観する、クラスメイト。
クラスメイト達の思うことはわかる。
『どうして久我は何も言わないし、反撃しないんだよ』
『妙子が怒るに決まっている』
『里沙が笑うに決まっている』
『自分たちが傍観しているのも、わかるだろ』
『だって、
いじめられている久我自身に、問題があるんだからよ』
クラスメイトの言うことはもっともだ。
自分は巻き込まれたくないだろうし、傍観しているのが1番良いだろう。
妙子は、あたし以外の他人にはとても優しいのだから。
いじめっ子である妙子が嫌われたりしないのは、きっとその性格のせい。
妙子が何か嫌うことをしなければ、妙子は心強い味方なのだ。
あたしは、ひたすら、妙子と向き合う。
クラスメイトやとりまきたちからの冷たい視線や、静かな教室内に響き渡る里沙の笑い声を浴びながら。
目を逸らすことなく、あたしは向き合った。
逸らしちゃ、駄目。
逸らすことなんて、絶対に駄目。
だけど、1番駄目なのは。
いじめをする、アンタなのよ…佐山妙子。