約束の暑中見舞い(5p)
「高校は離ればなれだな」
私はまだ具合が悪い。
「和己くんはどこ受けるんだっけ?」
「工業」
「そっか、工業かあ。そういえば幼稚園のときから、ずっと同じクラスだったよね」
「ずっと同じなんて、ほとんど奇跡だよな。きっと、そういう運命なんだよ」
「運命?」
「二人は結ばれる運命、なんつったりして」
「ばーか、それは絶対に、ない」
「だよな。たとえそうでも、おまえ、結婚ってタイプじゃないもんな」
「大きなお世話よ」
「仕方ない。三十になっても結婚できなかったら、僕がもらってやるよ」
「なに言ってるの。その時は私がお婿さんにしてあげるわよ」
あれから早いもので十五年が経とうとしている。
久しぶりに今年のお盆は帰ってみようかなと思う。