WORKER HOLiC
HOLiC 1
:Ⅰ
******
夏も近い季節。
梅雨も過ぎたこの季節は、朝は生温い。
肌はべとべとするし、寝苦しいし、逆に汗のせいで寝冷えする事もちょっとある。
目覚まし時計が鳴って、ふと眉をしかめた。
あまり聞いた事がない音……?
私はいつも、朝はジリジリと鳴る目覚まし時計で起きるけど、今聞こえているのは間違いなくクラシック音楽。
何故……?
と、目を開けてポカンとした。
……ここは、どこだ?
見えるのは薄暗い天井。
微かに視線を落とすと、足元の方には黒っぽいカーテン。
その隙間から、朝日だろう……明るい光が漏れる。
それから、軽いスプリングの音がして、右の身体が沈んだ。
「起こした?」
低い声に、恐る恐る右側を見る。
少し寝癖のボサボサ頭。
毎日見ている、ちょっと愛嬌のある可愛い顔。
……年上に、可愛いってのも何だけど。
「あ、有野……さん?」
「うん。おはよう、加倉井さん」
ニッコリと爽やかな笑顔で、有野さんはぴょこんと頭を下げる。
状況が違えば、私もニッコリ微笑み返したかもしれない。
だけど。
「ここは何処ですか?」
「ん? 俺のうち?」
「何故、有野さんが私の隣に?」
「そりゃ、うちの家にベッドが一つしかないから?」
「だけど……」
何故、有野さん、上半身が裸なの?
………裸?
恐る恐る、かかっている布団を持ち上げて、自分の姿を覗いてみる。
「……っ!? っ……!!」
声にならない悲鳴に、有野さんは頭をかきながら首を傾げる。
「なんか……状況が飲み込めてない?」
飲み込めるものかっ!!
だいたい、朝起きたら見知らぬ場所で目覚めて、しかも上司が裸で隣に寝ていて、なおかつ自分も……
「キャ──────!!」
いきなり叫んだら、有野さんはびっくりしたように飛び上がり、慌てて私の口を塞いだ。
「ちょ……っ。よくわからんが落ち着け」
落ち着ける理由がないっ!!
もがく私を有野さんは押さえ付け、耳元でポソリと呟く。
「暴れると、上掛け外れて見えるよ?」
ピタリと動きを止めた。
それはまずい。
「落ち着いて話そう」
夏も近い季節。
梅雨も過ぎたこの季節は、朝は生温い。
肌はべとべとするし、寝苦しいし、逆に汗のせいで寝冷えする事もちょっとある。
目覚まし時計が鳴って、ふと眉をしかめた。
あまり聞いた事がない音……?
私はいつも、朝はジリジリと鳴る目覚まし時計で起きるけど、今聞こえているのは間違いなくクラシック音楽。
何故……?
と、目を開けてポカンとした。
……ここは、どこだ?
見えるのは薄暗い天井。
微かに視線を落とすと、足元の方には黒っぽいカーテン。
その隙間から、朝日だろう……明るい光が漏れる。
それから、軽いスプリングの音がして、右の身体が沈んだ。
「起こした?」
低い声に、恐る恐る右側を見る。
少し寝癖のボサボサ頭。
毎日見ている、ちょっと愛嬌のある可愛い顔。
……年上に、可愛いってのも何だけど。
「あ、有野……さん?」
「うん。おはよう、加倉井さん」
ニッコリと爽やかな笑顔で、有野さんはぴょこんと頭を下げる。
状況が違えば、私もニッコリ微笑み返したかもしれない。
だけど。
「ここは何処ですか?」
「ん? 俺のうち?」
「何故、有野さんが私の隣に?」
「そりゃ、うちの家にベッドが一つしかないから?」
「だけど……」
何故、有野さん、上半身が裸なの?
………裸?
恐る恐る、かかっている布団を持ち上げて、自分の姿を覗いてみる。
「……っ!? っ……!!」
声にならない悲鳴に、有野さんは頭をかきながら首を傾げる。
「なんか……状況が飲み込めてない?」
飲み込めるものかっ!!
だいたい、朝起きたら見知らぬ場所で目覚めて、しかも上司が裸で隣に寝ていて、なおかつ自分も……
「キャ──────!!」
いきなり叫んだら、有野さんはびっくりしたように飛び上がり、慌てて私の口を塞いだ。
「ちょ……っ。よくわからんが落ち着け」
落ち着ける理由がないっ!!
もがく私を有野さんは押さえ付け、耳元でポソリと呟く。
「暴れると、上掛け外れて見えるよ?」
ピタリと動きを止めた。
それはまずい。
「落ち着いて話そう」
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