WORKER HOLiC

:Ⅲ

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 水曜日。

 澤井さんに根掘り葉掘りと〝金曜日の出来事〟について聞かれながら、部内の後輩たちと飲みに来た。

 あの質問攻めには参った。

 もしかしたら、社内の情報通は澤井さんじゃないかしら?

 でも、なんとかかわせたとは思う。

 賑やかに乾杯しあう皆に、微かに微笑んだ。

 うん。

 別にいいのよ、飲み会は。

 確かにお酒に強いわけじゃないけど、このプチお祭り気分は好きでもあるし。

 ただね。

 ただ……

「加倉井さん。その烏賊の塩辛、旨いよ」

「あ。そうですか」

 低い声にうなだれそうになりながら、番茶割りをチビチビと飲む。

 ……何故、有野さんが私の隣に座っているの?

 お互いに顔も見ず、そっぽを向いたままでたまに会話する。

 会話と言っても、二言三言くらいだけれど……

「あのさ」

「はい」

「何故、こっちを一度も見ないわけ?」

 ……何故、見なくてはいけないんでしょうか?

 と、言うかですね。

 あのサプライズな日から、まだ数日しか経ってないんですよ!?

 職場ではともかく、こんな雰囲気の中では、まだ整理整頓されていない心理状況のままに貴方を見れない訳で……

 と、言うか……

 やってられない。

「ちょっとお手洗いに行きます」

 立ち上がり、向こう端にいる澤井さんにコソッと近づいた。

「とても大切な用事を思い出したので、帰らせてもらいます!!」

「え。何、大切な?」

「はい。とっても大切なんです」

 私の心の平安を守る、大切な用事なんですっ!!

 必死な言葉は、澤井さんにとても伝わってくれた様で、彼女に会費を渡してからお店を出た。

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