WORKER HOLiC
「じゃ、俺は保安に寄ってから帰るけど、コンタクトのケース」

 手を出されてキョトンとする。

「え?」

「どうせ送るって言っても嫌がるだろうし?」

 ああ、はい。

 そうですね。

 最低限、有野さんには送ってもらいたくはないです。

 バックからコンタクトケースを取り出して渡すと、その小さなプラスチックケースを眺めて有野さんは苦笑した。

「ところでさ」

「はい」

「……祐介って男。相当ヒドイ奴だったんだね」

 ……は?

 ……え?

「思ったけど……加倉井さんて、男性不信に近いでしょう?」

 言われた瞬間に、頭の中が真っ白になった。

「…………っ」

 何故この人が祐介の事を知っているの?

 そもそも、どうして、そんな事を言われなくちゃいけないの?

 その考えが頭に到達した途端、逃げるように走り出していた。

「土曜日! 迎えに行くから話をしよう」

 そんな声を遠くに聞きながら。














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