WORKER HOLiC
「私達ね、もともと第一にいたメンバーなのね」

 ……第一クリエーティブ部?

「組織編成が変わった時に、こっちに移ったんだけどね。宇津木くんて、有野さんが一番可愛がってた後輩がいて」

 いや……宇津木さんの事は有名だから知ってますが。

「あの子、人付合いがドヘタでねぇ」

「叩くし口悪いし? 態度デカイし?」

 他の先輩が口を挟んで笑う。

「不器用と言ってあげなさい。で、たまにあの子の面倒事を有野さんが引き受けちゃうのよね~」

 何となく解るような解らないような。

「そんな感じの有野さんに付き合いがいいのがうちらって訳。まぁ、何か新しい発案はないのかとか、ブツクサいってたからね」

 大槻さんはポンっと、私の肩を叩いてニヤリと笑う。

「貴女、その新しい発想の起爆剤になっちゃったわねぇ」

 は、はい?

「どっから意見が出て来るか解らんもんだよねぇ」

 んん?

「やっぱり若い子は面白いわよねぇ」

 言い合う先輩達に頭を抱えた。

「私は単なるグラフィックデザイナーですから」

「ムリムリ。一回参加しちゃったら、普通に次も巻き込まれるわよ~」

「加倉井って、見た目より付き合い良さそうだもんな」

 それは、お仕事だからであって……

 笑いあう先輩達を眺め、遠い目をした。

 毒されている。

 きっと有野菌に毒されているのよ。

 そんな感じで、半月ぶりに通常業務に取り掛かった私は、久しぶりに残業もなく、タイムカードを押して会社を後にした。









「あっつー……」

 最近、残業ばかりだったから気がつかなかったけれど、日が長くなったのね。

 真昼……とまではいかなくても、明るい太陽の光に目を細める。

 しかも、暑い。

 パタパタと手で首元を扇いでいたら、軽く肩を叩かれた。
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