WORKER HOLiC
 生まれてから26年。

 冷めてるとか、ガードが固いとか、気が強いとか、そういう風になら言われ慣れてる。

 私は親しくもない人に開けっ広げに接するほど社交的でもないし、不躾な言動でたまに傷ついちゃう人もいるし。

 自然と一人でいることに慣れてしまっていたり……

 一人でいたら自分の言動なんて気にしなくてもいいし、無理に周りに気を使うこともないし。

 楽でいいし……

 そうしていたらどこまでもクールな、一人でいても平気で強気な、そんな私のイメージが出来た。

 だけど……

 だけど、ね。

 可愛い……って。

 は、初めて言われたわ。

「……驚く訳なんだ?」

 寝転びながら、頬杖をつく有野さんをちらっと見る。

 目を細めて何故か不機嫌そう。

 ……でも、不機嫌になる理由は全く解らないわ。

「……何故、怒ってるんですか」

「怒ってる訳でもない。少し拗ねてるだけだから」

「もっと意味が解りません!!」

「そうだろうね」

 有野さんは身を起こし、つられて私は逃げ腰になる。

「そうしょっちゅう襲わないから、そっちに座って」

 向かい側のソファーを示されて、ズリズリと移動した。

「俺が思うに……何だか変にこんがらがっている様だから、少し話そうかと思ったんだ」

「…………」

 何だか変なのは有野さんですから。

 ソファーに座り、少しだけ困った顔の有野さんを眺める。

 基本的に悪い人じゃないと思うのよ。

 それは、なんとなく解る。

 適当に仕事してるだけの人なら相談なんか乗らないし、何より他の部の後輩さんの分の仕事なんかまず引き受けないわ。

 だけど酔った女を頂いちゃったり、そんなモロモロを軽く考えている様で……

 そんな所が嫌。

「加倉井……聞いてる?」

 首を傾げられて、我に返った。

「聞いてます!」

「ならいいけど……まぁ、まずは俺なりの見解を言うね?」

 有野さんは鼻の頭を指でかいて、ちょっとだけ言いにくそうな顔で天井を見た。

「まず俺……さ」

「はい」

「君の事、好きなんだけど」

「…………」

 はい?
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