WORKER HOLiC
 明るいポップなウキウキモード。

 お昼の長寿バラエティー番組[笑ってよしとも!]のテーマソング。

 その音に、有野さんが吹き出した。

「……で、電話?」

「で、電話ですっ」

「何か、一気にギャグだね」

 私は助かったわっ!!

「出た方がいいよ」

 有野さんは私に背中を向けて、ひそかに肩を震わせている。

 それを横目で見つつスマホをタップする。

『もしもし? 佐和子?』

 何となく怖がりモードの雪の声。

 ありがとう! 雪!!

 あんたは私の守護天使だわっ!!

「ありがとう! 助かったわ!」

『……え?』

 スマホの通信を切ってバックを持つと、背中を見せている有野さんの様子を見つつコッソリ立ち上がる。

 それからそっとソファーを離れようとして……。

「あのね。君の行動、解りやすい」

 クルッと振り返られて、頭を抱える。

「私、以前にも言ったじゃないですか」

「何を?」

「私、別に異性とのお付き合いも、結婚も望んでないって! それに、今日は仕事もありますから帰ります!!」

「仕事ならここでも出来るよ」

「嫌です!!」

 キッパリ言うと、有野さんは悲しそうに溜め息をついた。

「解ったよ」

 ……この人の中途半端な〝解った〟は、全く当てにならない。

「本当に解ってます?」

「うん。まずは一つだけ」

 首を振りつつ、有野さんは人差し指を立てた。

「俺のライバルは、たぶん……」

 ……多分?

「仕事だな?」

 思わず吹き出した。









 それからしばらく。

 私と有野さんの攻防は続くのである。















 2008/08/16 0:26 他サイトにて完結

 2015/06/21 加筆・修正移行

 『WORKER HOLiC 完』

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