恋する七夕 ~ピンクの短冊に愛を込めて~
「あの、ええっと、いちおう確認しておきたいんですけど」
「うん?」
「………越川さん、私、それってデートだと思っていていいですか?」
(え?)
「私、今日もデートのつもりで来ていたんですけど……それでもよかったですか?」
千草は精一杯というていで聞いてくる。
(あれ……これってもしかして、「私たち、付き合っているよね?」を確かめようとしている言葉なのか………?)
こうやって休日に二人で出掛けるようになる前に、彼女には「好き」だとも「付き合ってほしい」とも伝えてある。ただ返事はすぐに出さないでいいと、自分からあえて保留にしていた。
千草の方は自分に好意を抱いていてくれているようなこと言ってくれたけれど、それ以上の言葉は急かさなかった。彼女との関係を大事にして、そして何より一歩一歩関係を確実なものにしたかったから。
今まで会えることがうれしくて彼女の気持ちをあえて確かめようとはしないでいたけれど。彼女の中ではいつのまにか答えが固まっていたらしい。この様子だと、おそらくずっとこのことを切り出そうとしていたのだろう。
(馬鹿だな俺。こういうことは彼女から言わせるんじゃなくて、男の俺が察してやるものだろう)
だいたい自分の方から告白したわけなのだし。
(藤村さん、言わせてごめんね)
控えめで自己主張が苦手な千草には、すごい勇気だったに違いない。でもそんな彼女が勇気を振り絞ってでも自分に伝えようとしてくれた気持ちに、うれしくてうれしくて。堪え切れずに顔が笑み崩れていく。