【短編】龍くんと南ちゃん
「よし!じゃあ、龍が早くカミさんとこ行けるように、皆全力出せよ!」

「うぃーす!」



キャプテンの平良さん始め、このチームはとにかく人が良い。
俺なんかの事で一致団結できちまう。
一人一人個性は強いけど、ここにはヤな奴なんかいない。

つくづくこのチームに入れて良かったと思う。




んで、試合が終わって即行病院に向かった訳なんだけど……




PRRRR~♪




病院に向かってる途中、車内に鳴り響く着信音。慌てて路肩に寄せて電話に出る。



「もしもし?」

『あ、龍弥くん?南ちゃん……』

「南がどうしたんすか!?」

『落ち着いて。大丈夫だから』




璃乃さんに言われてふと我に返る。




「今さっき、分娩室入ったからって伝えたかったの。心配なのはわかるけど事故起こさないように気をつけて来てね」

「はい」




そう言われたものの、これが落ち着いていられっか。
電話を切ってすぐ、車を飛ばした。
一刻も早く南ちゃんのところに………


















「璃乃さん!」




分娩室の前には、私服姿の璃乃さんが座っていた。今日の勤務はもう終わりみたいだ。



「あ、龍弥くん。間に合ったね♪まだ産まれてないから、早く行ってあげて」



背中を押されて中へ。

そこには、玉のような汗を浮かべて頑張ってる南ちゃんの姿………



「南ちゃん、遅れてごめん!頑張れ!」

「龍……くん」






俺に気付いて、南ちゃんが安堵の笑顔を浮かべた、次の瞬間…………





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