【短編】龍くんと南ちゃん
「太った腰つきじゃない気がするの」
「婦長!まさかそれって……」
璃乃さんまで目を大きくさせて。私だけイマイチよくわかっていない。
「あ~もぅ、南ちゃん最近夜勤続きだったのに、大丈夫だったかな」
「そうね。周りに独身の子たちが多いから、気付くのが遅くなってもおかしくないわ。本来私が気付いて上げなきゃいけなかったのに……ごめんなさいね」
「何がですか?なんで婦長が謝るんですか?」
婦長に引っ張って行かれて、ナースステーションのイスに腰掛けさせられる。
目の前にしゃがむ婦長。素敵な優しい目……
「前回の生理はいつ?随分きてないんじゃない?」
「あ!」
やっとモヤモヤしてた疑問が線で繋がった。普段不順だから気にもしてなかったけど……もう半年はきてない気がする。
「私……妊娠してる?」
お腹を触ってみる。言われてみれば、太ってる時のお腹とは形も堅さも違う気がする。
「可能性は高いと思うわ。今から婦人科受診してきなさい」
「でもまだ仕事が…」
「そんなのなんとでもなるから。龍弥くんの試合、遅れちゃうよ」
優しい婦長と璃乃さんの言葉に甘えて、早退の形で婦人科を受診してきました。
結果は………
妊娠反応陽性。
しかも六か月に入ったところ(医師になんで今まで気付かなかったって怒られちゃった)。
考えてみたら、夏に食欲なかったのとかダルかったのはつわりというやつじゃなかったのかなぁと今になって思った。
「どうだった?」
「妊娠してました。六か月だそうです」
「わっ、やっぱり☆おめでとうっ!」
勤務明けの璃乃さんに恥ずかしながら報告。