Focus
それから俺と沙那さんの二人は、またバラと写真に溺れていった。
果てることのないように感じていたバラもつき、カメラのメモリーもこれ以上の撮影を拒んでいた。
予備のメモリーも、電源も使い果たしてしまった。
そのあまりの量に自分でも驚くほどだ。
バラを見ることに疲れ、沙那さんを撮影することに疲れ二人でベンチに座りこんだ。
「疲れたわね~」
喋り疲れて掠れた声で沙那さんが言った。
「でも、すごく楽しかったです」
「じゃあ誘って良かったわ」
お互いに顔を見合わせて、どちらともなく笑った。