Focus
笑ってそれから、自然に見つめ合ってキスをした。目を閉じてやわらかな沙那さんの唇を味わうと、渇ききった心が満たされる気がした。
とろけるような幸せ。
何度もついばむようなキスを落として、最後に下唇をはさんでチュッとリップ音をたてて離れた。
沙那さんは頬を赤く染めて睨むように俺を見た。
「なにこれ反則」
「沙那さんが、かわいすぎるからいけないんです」
もうっと肩を叩くけれど、ちっとも痛くない。ただ子猫がじゃれているみたいだ。
「やっぱりそこは男としてきちんとしないと」
「どうきちんとするつもりよ」
ぷくりと膨れた沙那さんもかわいいけれど、それは心にしまっておく。