Focus
「どうぞ、座って」
椅子を引いて沙那さんにすすめる。
「そんな、いいのに」
まだ遠慮しようとするので、手を引いて座らせる。
「俺には何も遠慮しないでください」
沙那さんが俺を選んでくれなくても、それは仕方ないから。
口には出さなかったけれど、沙那さんは困ったような顔をした。
「沙那さんには、優しいのねー」
ミオがわざと聞こえるように嫌味を言う。
「俺は女性には優しいつもりだけど」
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