Focus

「それじゃ、あたしは女性にすら見て貰ってない訳ね」

頭を下げて考えこむミオ。顎がコックコートにつくくらい下になってる。

「ミオが女性じゃないなんて言ってないだろ」

「言ってるようなものじゃない、あたしにはちっとも優しくないもの」


勢いで言ってから、はっとしたミオが踵を返す。ぱたぱたと逃げるように走っていってしまっても追いかけることはできなかった。


「いつもミオはこんなに怒ることなんてないから、沙那さんびっくりしたんじゃありませんか」


沙那さんもよほどびっくりしたみたいで、目を見開いていた。


「……本当、びっくりしたわ。彼女にも、結輝くんにもね」

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