Focus

「……いい加減な気持ちなんかじゃ……」


「沙那がちらつかせる結婚だって、お互いの気持ちだけでどうにかなるものじゃないんだ」


御山さんは、ふうっと深いため息をついた。


「御山さんは、沙那さんと付き合っていたんですか?」


「付き合っているつもりだったよ。ほんのついさっきまで。

沙那に俺との未来を考えられないと言われるまでね」

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