Focus
「ここまでミオが悩むなんて珍しいだろ。クライアントへ提案するケーキの試作が上手くいかないのか」
ため息をついて頭を振るミオを、力ずくで椅子に座らせてコーヒーをいれることにする。
「そんなの、悩まないわよ。みーんな披露宴には夢があるんだから、いくつか提案させてもらうもの。あれこれケーキを悩むのも楽しいのよ」
考えこむ視線の先には、コンクールの申し込み用紙が置いてあった。
よく見ると、ミオはこのコンクールの記事をスクラップしているようで、年度ごとの入賞者や、受賞したケーキの写真まであった。