Focus
うーんと眉間にしわが寄る。ちょっと違うみたいだ。
「じゃあミオが、一番好きな人は?憧れている人でもいいよ」
ぱあっとミオの顔が明るくなって、目を閉じたまま幸せそうに笑った。
ミオが笑うと、探していた答えが見つかったようで嬉しくなる。
お菓子の知識なんてまったくない素人の悪あがきなのに、こんなことで笑ってくれるなら、こんなささいなことでいいなら、いくらでも付き合ってやりたい。
「ミオが食べて欲しい誰かのために作るのが一番だよ」
「……うん……」
ゆっくり目を開けたミオは、笑っていてやっぱりかわいかった。