Focus
かなしむ
笑顔になったミオはレシピも書かずに、量りで粉を計量しだした。
その顔は真剣で迷いがなくて安心する。困っていたり悲しんでいるのはミオらしくない。
ミオは笑っているのがいい。厨房を後にしようとして、ふと写真を撮りたくなった。真剣に取り組んでいる邪魔しないように、一枚だけ。
カシャリとシャッター音が響いても、ミオは気にすることなく、粉をふるいにかけていた。真剣であっても、どこか楽しそうに目元が笑っている。
このミオが見たかったんだ。