Focus
「なんで棚橋さんのこと名前で呼ぶの?あたし達、付き合ってるんだよね?」
「……ごめんね。沙那さんが気にするなら、もう呼ばない」
あまり関わったことのない、こういった感情はどう対処したらいいのかわからない。
ただ宥めて誠意を見せるしかない。
「もう他の女の子と話したりしないで」
こつりと沙那さんが肩に頭を寄せてくる。
「わかった。もう心配かけないから」
ぎゅっと抱きしめて髪にキスすると、腕のなかで笑った。
「約束して」
「うん、約束。沙那さんも他の男なんて見ないで」