Focus

他の男、と言った時に、鮮やかに御山さんが浮かんだ。

なんで、あんな格好いい人を振ってまで、俺のとこに来てくれたのかわからない。

不安になって、きつく抱きしめた。



「………結輝、今日は一緒にいて」


「朝まで?」

「そうよ…嫌?」

「彼女から誘われて嫌な男なんていないよ」


まだ不安の残る顔にキスをして手を繋ぐ。自分のほうからこの手を離すなんてしたくない。独占欲が胸を締めつける。

たとえ相手が御山さんだとしても。

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