Focus



目が覚めて、腕の中に沙那さんがいることに安心する。

夢なんかじゃなくて、沙那さんがここにいる。

あたたかくて、やわらかい、しあわせ。

眠っていても、長い睫毛に縁取られた目元や、通った鼻筋、わずかに開いた唇も色気があって綺麗な人だ。こんなに綺麗な人が自分を選んでくれたのだから、自分も釣り合うだけの大人になりたい。

眠っている沙那さんを抱き寄せて、頬にキスする。




「………隆志」





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