Focus
御山さんの名前だ。
まだ夢に出てくるのは御山さんでしかないなんて。沙那さん…あなたの心にはまだ御山さんしか入り込めないんですか。
たった一回のデートと一夜を過ごしただけの新しい恋人は、まだあなたの夢にすら入り込めないんですか。
どれだけ体を重ねたら、沙那さんの体は自分のものになるのだろう。
どれだけ心を通わせたら、沙那さんの心は自分に向くのだろう。
「ほんと……ひどい人だね」
掠めるようなキスをひとつ唇に落として、起こさないようにそっとベットを後にした。