Focus
「結輝もなんだかお疲れなんじゃない? 撮影中、ここにシワ寄ってた」
とんとんと軽く自分の眉間を指す。
「もしかして女? だったらさ、経験豊富な俺が相談に乗ってもいいよ? 」
冗談めかして言うのは、断られてもいいって予防線であることは知っている。
軽く流せるくらいの悩みなら、心配ないから深入りはしてこない。
だから誰にも言えずにいるなら、話くらい聞く。
そんな礼治さんのスタンスに、やっぱり大人になりきれない自分を感じる。