Focus
「今度はなに?」
再び、厨房に現れたオレを見て、ミオが声をかけてくる。
アイスクリームメーカーに、ソルベ用の果汁を注いでいたミオは手を止めることなく、動かしていた。
「なにって…オレが聞きたい。沙那さん、御山さんと付き合ってるの?」
「……さぁ聞いたことないわ」
「一緒にいたよ、さっき」
つい言葉にふて腐れたような音色が混ざる。
「聞けばいいじゃない」
「なんて?」
「付き合って下さい、とか」
「いきなりすぎじゃない…つか…なんでそういうコト言うわけ」
ばん、ミオが調理台を叩く。
「好きなんでしょ、いつかは言うんでしょ」
「だから何でそれを言うかなミオが」
「じれったいのよ、見てて」