Focus
「わからないわよ。写真なんて何も知らないもの」
いやいやをするように、頭が振られる。
「ミオの言葉が聞きたいんだよ。聞きもしないで、雑誌に応募したのは悪かったと思ってる。これが、今の俺に撮れた一番いい写真だからこれで勝負したんだ」
じっと見つめると、居心地悪そうに身じろぎする。
「ミオがコンクールで入賞したのも知ってる。これだけで…この入賞だけで収まらない奴だってわかってる。こんなのまだ序の口なんだろ?」
迷うように首を傾げてみたけれど、頷いた顔には迷いがなくはっきりとそうよと答えた。
「俺は、ミオを撮りたい」