Focus
恥ずかしそうに口にして、すぐに口に広がるプリンの味にふにゃりとした笑いがうかぶ。
「おいし~これなんてプリン? 」
「ブラジルプリンだよ。牛乳のかわりに練乳が使ってあるんだって」
原材料の欄を見えるようにミオに向けると、奪うように手にして、食い入るように表示欄に見入っている。
「固すぎず、ゆる過ぎず絶妙なプリンだった!! 甘さもしつこくないし、いい感じ」
そこまで言われては、スーパーの売れ残りで値引きされてたとは言えない。どぎまぎしながらミオを窺うと、俺のことなんてまったく気にもしないで、まだ食い入るようにプリンをみている。
どれだけ食べたいんだと思っていたら、ミオの喉が、ごくりとつばを飲み込んだ。
こいつ本当にプリンが好きなんだなと思ったら自然に笑いが浮かんで、つまらないことなんてどうでもよくなってしまう。
「……そんなに食べたいなら、残りも食べていいから」
「ほんと!! 結輝いい人!! 」
嬉しそうにプリンを口にしているのを見ると、こちらまで嬉しくなってくる。惚れた弱みだろう。