Focus
「手でつまめる物を用意したから、作業しながら食べて」
ミオには、サンドイッチとおにぎりとプリンが買ってある。もちろんミオの食べ物は定価のものだ。
「あ~なんだかプリン食べたらおち着いた」
それなのに、ミオときたら満足そうに、お腹を撫でている。こっちは心配でしかたないのに、呑気だ。
「きちんと食べないとダメだろ」
「けっこう味見したりしてたから、平気」
にへらと笑う。
「今日、あたしにケーキを注文してくれた人は、去年もお母さまのケーキを注文してくれて、とても喜んでくれたから、また今年も頼んでくれたのよ。今年はね、傘寿だから特別素敵なものをとおっしゃってね」
椅子から立ち上がったミオが、手招きするので後についていくと、キッチンだった。