Focus
Reiji Side
気持ちを切り替えたくて、海岸線を歩き出す。まだ煙草をくわえたまま海を見つめる。
透明度の高い海は白い砂が透けて見えるほど明るく澄んで、光をはね返していた。
本当は玲奈ちゃんに詰め寄って問い質したい。どうしてそんなポージングをするのか、俺のことをどこまで知ってそんなことをするのか。
背後でさくさくと砂を踏み締める音がした。結輝ではないその音に動揺する。大人げなく撮影を中止している自分に嫌気がさすものの、振り返って手招きした。
「礼治さん……」
「どうしてあんなポージングをしたの」
玲奈ちゃんのしたポージングは、鏡でピアスを確認して振り返る仕草だ。遠くをながめて少し目を細めたり……普通のグラビア撮影のイメージではない。
「礼治さんに撮ってもらえるなら、してみたかったんです……」
「どうして」
風で流れる煙が彼女にぶつからないように体をずらすと、ぴくりと体が動いた。
「あたしが好きな写真だからです」
「Echo?」
「はい。18ページ」