Focus
「俺は撮る側なんだから、撮影はいいの」
「そんなことないですよぅ結輝は撮られる側もやってみたらいいのにって、礼治さん言ってましたよ?」
「お世辞はいいからね。玲奈ちゃん」
「お世辞じゃないですよ。ホントのことっ」
そう言ってにっこり笑うので、恥ずかしいような、くすぐったいような気持ちが胸で踊る。
一瞬の後、シャッター音がして会心の笑みを浮かべた玲奈ちゃんが画面を覗きこんだ。
「できました!題は『ときめき』なんてどぅでしょう」
液晶に留められた自分の、恥じらうような照れ笑いを浮かべた顔に息が止まりそうになる。
体温が上昇して、熱が上のほうに集まってくる。