Focus
「やっぱりいい」
ぴたりと立ち止まったミオが言う。さっきまで人の恋愛事情に首を突っ込んできたくせに、突然な変わりようだ。
「なに、やっぱり野次馬はやめることにした?人の恋路を邪魔する奴はって言うもんな」
追いかけて顔を覗き込むと、ミオは唇を尖らせてふて腐れていた。
「やっぱ結輝ごときにノロケられてもムカつく」
「ごときで悪かったなぁ。俺はミオとはいい仲間でいたいと思ってるんだから。ミオんとこ行けなくなったら辛いだろ」
「べつに、いい、だからつまみ食いに来なくても。プチフール多めに作らなくて済むんだから」
いーっと顔をしかめてミオは行ってしまう。