Focus

また電車に乗り、そこからバスでバラ園まで向かった。

沙那さんは明るくて楽しくて、気づかいもスマートで後から気づくようなこともあった。




バラ園には自分と同じようにカメラを構えた人や、家族連れ、恋人どうしなど思い思いに花を楽しんでいた。

沙那さんも花を見て、それから香りを嗅いで、名前のラベルを確認する、そういった動作を繰り返していて、まるで一緒にいる自分のことも忘れたかのようにうっとりとバラに酔いしれていた。

< 97 / 229 >

この作品をシェア

pagetop