いい加減な恋のススメ
最大の敵




ヤバい、緊張でお腹が痛い。


『えー、そんなに?』

「……うん、」


電話中の声が少し疑っていたが私はその声に頷くと携帯を耳に当てたままベッドの上に横になった。そして本日のお腹の調子だが全くよくないです、朝から締め付けるような痛みが私を襲う。


『泉(イズミ)は真面目すぎるんだよ。もっと肩の力を抜いてさ。相手するのは自分より年下の生徒なんだよ?』

「……分かってるよ」


杏(アンズ)は受話器越しに「その声は分かってないでしょ」と1つ溜め息を吐いた。
どうして私がこんなに友人である杏に不満を垂らしているかというと、


「だってさ、4週間だよ?馴染めなかったら地獄だよ?」


そう、明日から私はとある高校に教育実習に行くのだ。
大学3年の私は教育実習に行くのはそれでいいのだがその学校に馴染めるか心配で心配で、それでこんな前日の深夜に友人の杏に電話をしている。

あぁ、考えたらまたお腹が痛くなってきた。


『じゃあ何で母校にしなかったの……そっちの方が高校時代の先生とかいて馴染めやすいでしょう?』

「だよね……でも通勤に時間が掛かるから」


家から近い方を選んでしまった、なんて……

因みに、杏は私と同じ高校出身同じ大学在学で高校からの付き合いだ。



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