いい加減な恋のススメ
「初めまして。安藤 泉と申します。担当は日本史です。
1ヶ月という短い間ですが、生徒の皆さんと沢山の時間を共有できたらいいなと思っております。もし、廊下などで見かけたらお声を掛けてくださると嬉しいです。
宜しくお願いします」
壇上の上でお辞儀をすると拍手が耳に届く。その後隣の人に場所を変わると次はその人が自己紹介を始めた。
はぁ、凄い緊張した……なんとか教育実習初日を迎えた私はこの教育実習を成功させようと燃えていた。
それにはまず、幸澤先生のことは何も気にしない形で行こう。
全校集会終了後、壇上下で待っていると幸澤先生が迎えてきてくれる筈なのだがなかなか姿を現さないのでこの時点でかなり不安になってくる。
暫く待っていると、
「安藤!安藤!!」
「っ……」
向こうからそう声を上げている幸澤先生の姿が見えた。彼は教員の間を掻い潜ってこちらに来るがこの時点で私の怒りはMAXに達していた。
「幸澤先生!私はもう貴方の生徒じゃないので呼び捨てにしないでください!」
「……あ、そうだった。ごめんごめん、癖が抜けなくて……」
「っ……」
癖が抜けてないって……そんないい加減な意識ならそういうことになっても可笑しくないわ!