いい加減な恋のススメ
な、なんで幸澤先生が!そう思っている間にも状況は進んでいた。
「私、幸澤先生にはただの生徒でしか見られてないって分かってるんです。分かってるんですけど、好きになってからは私、他の子と同じように見て欲しくなくて」
「……」
「……幸澤先生の、特別になりたいんです」
よく見ればあの女子生徒は背中しか見えていないが彼女は今日の休み時間に話し掛けてきた女子のグループにいた中の1人だ。確かあの時は"めぐ"と呼ばれていたから、きっと名前は坂口めぐさん。
あんな大人しい子まで手玉にとるなんて、許せない。
しかし身動きが取れない私はそのまま彼女の告白を聞いていることしか出来なかった。
「私のこと彼女にしてくれませんか」
ドクンッ
その言葉に何故か胸がざわつく。この前の土曜日に言われた言葉が頭を過る。
―――「やっぱし教師と生徒って駄目なんだね」
「ていうか未成年に手出しちゃ犯罪でしょ」
「泉のクラスはいないの、幸澤にマジになっちゃってる子」
あの時は「まさか……」なんて思っていたけれど。だけどそれを今目の当たりにすると凄く胸が苦しくなってくる。
私にはあの人が誰と付き合おうが全然関係ないのに。