いい加減な恋のススメ



幸澤先生は坂口さんの背中を押すと「ほら、帰れ」と、


「ただありがとな、告白されんのとか久々でちょっとおじさんときめいたわ」

「っ……」

「俺がもうちょっと若かったらな」


坂口さんは泣いていたけれど、彼に告白したことに後悔は無かったように思えた。
勿論告白も何もしたことがなかった私だけど彼の言葉は彼女にとってほしい言葉では無かったとしても悪くは無かった。

なのに、なんで私のときは、


―――「お前、俺のこと好きみたいだな。まぁ、有り得ねぇけど」


「(……こっちこそ)」


と、


「新しい趣味の開拓か何か?」

「っ!?」


いきなり話し掛けられ肩が上がる。そこには幸澤先生が立っていて、私の顔を覗き込むように見ていた。


「な、なな、私がいたこと分かって……」

「いや、分かるだろ。お前、1回角から思いっきり出てきたし」

「……さ、坂口さんは」

「坂口ぃ?帰ったけど」

「……」


やっぱり全然態度が違う、私と他の人じゃ。私だって元だけど教え子だったのに……って、なんで私ムカついちゃってんの!?意味分かんないよ!



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