いい加減な恋のススメ
必死にその考えを脳内から消し去ろうと必死になる私を彼は「何やってんの」と呆れたような目で見た。
「それより、俺は君が思う正しい答えを言えましたか?」
「へ?」
そ、それって私がまるで坂口さんの告白を断って欲しかったみたいな言い方。
しかし壁に凭れるように立っている彼の口から出てきたのはそれとは全く別の意味だった。
「生徒に告白されるだけでもお前怒りそうだもんな、勘違いされるようなことすんなって」
「そ、そりゃ怒りますよ!大体幸澤先生がいい加減な態度を取るからあんなことに」
「理不尽だな」
お前のことだから俺が坂口と付き合うとか思ったんだろ、と言われて言い返すことも出来なかった。ええ、ええ!そう思ってましたよ!貴方のことだから。
だからって断ったことで私の中の好感度が上がるわけではない。
「それに、答えは全部あの時言っただろ」
「え」
「別に、生徒は生徒でしか見てねぇからな。女子も男子も一緒。だから手ぇ出すわけねぇんだよ」
「っ……」
「まぁ、俺の好みはもうちょっと歳上で甘え上手な女だしな」
いや、幸澤先生の好みなんか全然聞いちゃいないんだけどな。
でもそれだったらなんで私のことなんか……
「じゃあ、なんで私と寝たんですか」