いい加減な恋のススメ
明日も学校があるからと比較的に早めの時間に家を出た。
お金は小田切先生が払いそうになっていたのを私が止めて、何とか聞き入ってもらって割り勘にすることに成功した。
特にお酒も飲んでいないのに沢山小田切先生とお話しできて何だか幸せな気分だ。
「駅まで送るね」
「ええ!?いいですよ!」
「ううん、ここら辺ちょっと治安悪いから」
「あ、……」
そんな言葉に甘えて駅まで一緒に付いてきて貰うことに。
話した事は殆んどが仕事のことで私も体育についてそんなに習ったことが無かったから小田切先生のお話はとても新鮮で楽しかった。途中からは盛り上がってしまって私が日本史の好きな時代について話し出してしまって大変恥ずかしかったけれど。
自転車を押す小田切先生の斜め後ろを歩く。彼はお酒を飲んだというのにも関わらず、しっかりとした足取りだった。
「小田切先生ってお酒強いんですか?」
「うん強い」
彼は自転車から片手を話すとそれでピースを作った。
「1回友達とヤバいぐらい飲んだ時あるけどそれで最後まで意識あったの俺だけだったしなぁ」
あれは大変だった、と懐かしそうに笑う彼の横顔に私は心を奪われる。
真面目な性格なのにそんなヤンチャな一面もあるだなんて、なんて女性のツボを押さえている系男子なんだろう。