いい加減な恋のススメ



と、


ヒタヒタッ


「っ……」


静かに画面を見つめているとさっきまでは気が付かなかった足音が耳に届いた。
一瞬画面を凝視するのを止めるとその端っこにある今の時刻を確認する。10時を少し回ったぐらいだった。

こんな時間に外を出歩いているのなんて自分くらいかと思っていたから少し吃驚する。
まぁ、気のせいだよね。そう思って私は再び先程のスピードで歩き始めた。

しかし気になってしまったが最後、その後は後ろの足音が私の頭の中を埋め尽くしていた。
歩くスピードは同じぐらいでそれが自分に合わしていると思ってしまうところ自意識過剰な自分の性格が嫌になる。

あぁ、そういえば今日の朝アパートを出るときに斜め前の堀口さんに最近不審者が出るらしいという話を来ていたのを忘れていた。
泉ちゃんも帰ってくるの遅いから気を付けてね、なんて言われていたけど全く自分には無関係だと踏んでいたから頭の隅にも残っていなかった。

私は1度立ち止まると恐る恐る後ろを振り向いた。しかし運悪く電灯が切れてしまっていて私が今立っているところから10m先は真っ暗で何も見えない。どうしてこういうとき、神様は私の味方をしてくれないんだろう。



< 114 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop