いい加減な恋のススメ
その後、私は幸澤先生に連れられ彼の担当するクラスへと案内される。この人が担任するクラスか……彼と似ていい加減なのだろうか。いいや、子供たちに何も罪はないのよ。
「2年生の間でも1番騒がしくてな。いきなり吃驚させちゃうかもなぁ……」
「……」
騒がしいのは幸澤先生に似てなんだと思うのだが、とは口にしなかったがこれはかなり覚悟が必要なようだ。
「あの、変なこと言わないでくださいね」
「変なこと?」
「……だから、私の高校の頃の話とか」
「大丈夫、全然覚えてないから」
「……」
それはそれでなんか複雑だな、なんて思うけれど忘れたに限ることなんてないんだろうな。
彼の言う通り、彼の担任のクラスであるCクラスは確かに騒がしいクラスであった。私は入るなり注目され、自己紹介中も質問の声が飛び交う。
「安藤先生って何歳?」
「え、と……21歳です」
「えー、わかーい。幸澤の9歳も下なの!?」
「幸澤も年取ったなー!」
すると生徒たちが教室の後ろのロッカーに持たれている幸澤先生を振り返る。幸澤先生はそんな皆に、「安藤先生を基準に考えるんじゃねぇよ。俺だってまだまだ若い」と溜め息と一緒に吐いた。