いい加減な恋のススメ
言わなきゃ、止めてくださいって。こんなことするなって。だって私、この人のこと大嫌いだし。
するとふわっと体が浮いたと思っていたら彼に体を抱き上げられた。離せ、と暴れると私の心とは裏腹に靴が脱げてしまった。
「わ、わっ……」
彼が動くために自然と手が彼の首へと回る。それが恥ずかしくて一瞬で離してしまった。
真っ暗な部屋を進む彼に「何?」と思っていると急に手を離されて投げ出された。
背中に柔らかい弾力が伝わる。私は顔を真っ青にした。
どうしよう、ベッドだ。
「あ、あの、話があるんじゃ」
慌てて上へと覆い被さってくる彼に私は問い掛ける。
「何、そんなの信じたの?」
「え、」
「ねぇよ、そんなん。てかお前も簡単に連れ込まれてんじゃねぇよ」
「……そ、んな」
「……口開けろ」
私はブンブンと頭を振った。見上げた彼の顔はそれでも格好いいと思ってしまうところが本当に憎たらしかった。
「や、やだ……」
「……逃げるタイミングなんて有りまくったのにここまで来たのはお前だろ」
「だって、それは幸澤先生が」
「……そういう誰の言うことも聞くところが」
苛々する、と彼は溢した。