いい加減な恋のススメ
―――「幸澤先生が好きなの?」
いつだか小田切先生に言われた言葉を思い出しポンッと私は膨れた。いやいや!違う!断じて違う!私は絶対あの人が好きじゃない!むしろ嫌い!
だってそうじゃなきゃ、そう言い聞かせていなきゃ、
「(胸が苦しくなるんだもん)」
ぎゅーっと布団を抱き締める。煙草の匂いが染み付いているそれは居心地が悪くて直ぐに離した。
それにしても昨日は暗くて分からなかったけど程々に汚い寝室だ。脱ぎかけのシャツとか、クローゼットからも色々はみ出してるし。まぁ、いい加減な性格の彼だから何も期待してないけど。
私はおずおずとベッドから降りた。彼はシャワーを浴びている。昨日の今日で顔を合わすなんて絶対無理!無理すぎる!
学校で会ってしまうのは仕方ないけど、ここで顔を見てしまうと昨日のことを思い出しそうになる。
私は散らばった自分のスーツをかき集めた。ていうかこれ全部あの人に脱がされたんだよな。あぁ、別に顔を見てなくても昨日のこと思い出しちゃったよ。