いい加減な恋のススメ









あの後急いで準備して学校まで来たけど結構疲れてしまった。昨日の今日だし、きっと幸澤先生もこうなることを分かっててああ言ってくれたのかな。
いや、あの人はそんなこと考えてくれてはいない。ただの気まぐれなんだ。

私はそう頭を切り換えるとうんうんと頷く。あの人のことで期待なんかしたって無駄なんだから。


「朝からそんな顔してどうしたんですか?」


隣の椅子が動いたので見上げると小田切先生の姿があった。


「そ、そんな顔?」

「難しそうな顔」

「え!?してました!?」

「ええ、」


また悩みですかー、と彼は私のことをからかうように笑いながら席に着いた。朝の彼との会話を浄化させるかのような微笑みをいつもありがとうございます。


「悩みっていうか、ちょっと気に食わないことがあって。でもこれは相談するようなことではないんで」

「そうですか。あ、それより安藤先生」

「え?」


小田切先生は私にファイルで口元を隠しながら近付いてくる。そして耳元で心配そうに囁いた。


「昨日の夜、大丈夫でした?」

「……えっと、」

「一応帰ってLINEしたんですけど既読にならなくて」

「え!?本当ですか!?」



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