いい加減な恋のススメ
慌てて確認してみると確かに小田切先生からメッセージが来ていた。
朝とかバタバタしてたから全然気が付かなかった。
「ご、ごめんなさい」
「ううん、大丈夫。ただやっぱりあの時間に帰しちゃったから心配で。それに返信も無いし」
「うっ……」
「昨日の夜、何かあったの?」
「……」
昨日の夜、何か……
―――「も、……やだぁ」
「そう?まだまだ大丈夫そうだけど」
「っ……あ、変に……なっちゃ……」
「なっちゃっていいよ」
「んぁっ……んん!」
「何もなかったです!!!」
急に私が大声を出したから側にいた小田切先生は吃驚したようで耳を押さえて私と距離を離す。
「あ、ごめんなさい」
「ううん、平気。どうしたんですか急に」
「あ、いえ……何も」
私は気まずげに彼から目線を外した。
ていうか私も私で朝っぱらから何を変なこと思い出しているんだろうか。本当に頭が変になりそう。あぁ、嫌だな!記憶があるって!
「き、昨日は疲れてて、家に着いたら直ぐに寝ちゃったんです」
「そうなんですか」
「はい、すみません心配掛けて」
「いいえ」
小田切先生のその爽やか笑顔を見たら本当のことなんて絶対言えないなって思った。この笑顔は私が守ってみせる。
と、
「へー、直ぐに寝ちゃったねぇ……」
「っ……」
後ろから降り掛かってきたその声にギクリと肩を飛び上がらせた。
「それはそれは、ぐっすり眠れたようで」
「……幸澤先生」
私のことを見下ろしていた彼はフッと意地悪く笑うとそそくさその場を離れていってた。
あぁ、今日も忙しくなりそうだ。