いい加減な恋のススメ
文化祭まで残すところあと少し。学校は既に文化祭色で彩られている。
ていうかこんなにクラスがあってよくお化け屋敷が被らなかったなぁ。殆んどは模擬店と展示みたいだけど。
しかし私の頭だけは文化祭のことで一杯にはなられなかった。文化祭まであと少しとすると私の公開授業まで残されている時間はもっと短いということだ。
「(……どうしよう、全然進まないし)」
私は大量の参考書の前で苦戦していた。大学でも人前で授業するという練習は何回もしてきたのに本番になると練習よりもいいものを作ろうとして、そればっかり意識してしまってなかなかペンが進んでくれない。
他の先生の相談してみようかな。でも私の担当は幸澤先生だからあの人に聞かないと不自然って思われちゃうよね。
だけど今あの人に関わったら……、私は例のことを思い出して頭がパンクした。
結局あの人のせいで勉強に集中できなくなってる。ううん、全部私のせいなんだけど。
今までずっと自分がしてきたことは全部正解だと思っていた。だけど昔の自分が今の私を見たら落胆するだろうな。