いい加減な恋のススメ



私はくるりと彼に背中を向ける。


「安藤?」

「すみません、1人にしてください」

「……」

「ちゃんと、準備は頑張るので!」


私はそう言うと駆け出した。取り乱した、最悪だ。急にキレて何だと思われてるに決まってる。
だけど彼に「幻滅した」なんて言われたら、まるで心臓が止まったように他のことを考えられなくなった。


「(反省!)」


彼が私のことを見てないのなんかいつものことじゃないか。何を今更傷付いているのか。
やっぱりこの前も思ったけど、私彼のことを全然忘れられてない。忘れようと思う度にもっと強く思い知らされる。

彼によって乱されてしまう自分のことを。

もう止めよう、無理矢理忘れようとするのは。
どうせ、あの人にとって私の存在なんかちっぽけなものだし、ここで足掻いたってなんの意味なんかない。

彼が私のことを見てないと、何も意味ない。


「(小田切先生とかに帰るって言わずに帰ってきちゃったな……)」


私は自分の部屋に着くと地面に重たい鞄を置いてベッドへと身を投げた。
大丈夫、見方を変えよう。まだ2週間ある。2週間で出来ることを考えて、それに精一杯取り組もう。



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